2007年2月16日 (金)

万機公論に決すべし

「広く会議を興し、万機公論に決すべし。」とは明治元年(1868年)に示された明治政府の基本方針を示した「五箇条の御誓文」の第1条です。
これは、現代の政治においても通用する重要な方針だと思います。
現代のIT社会では、「会議」は実際に人が集まる会議だけでなく、インターネットを使った電子会議や電子アンケートのようなものも含めていいでしょう。

神奈川県では、昨年12月1日から、インターネットを利用したアンケート・システム「e-かなネットアンケート」を導入しました。2月15日までに、13本のアンケートを実施してきました。この仕組みは、誰でも参加できますが、「e-かなフレンズ」に事前登録をいただいた方にお答えいただく形のシステムです。

この「e-かなネットアンケート」で、18年12月27日から1月26日までの1カ月間、「他人のたばこの煙、どう感じていますか?」と題して、「受動喫煙を防止するための公共的な場所での喫煙規制について」意見を聴くアンケートを実施しました。

ところがこのアンケートが波紋を呼んでいるのです。
というのは、このアンケートの回答に際して、JT(日本たばこ産業株式会社)が、組織的に社員を動員して、「喫煙規制に反対票」を投じるように指示をしたことが読売新聞の取材で明らかになったのです。

このアンケートの結果は、4,047件のご意見をいただいたうち、主な回答は次のとおりとなりました。

「受動喫煙の健康影響について知っている」が 3,689件(91%)

健康増進法による受動喫煙防止対策の状況について
「進められていると思う」が 2,469件(61%)
「あまり進められていないと思う、進められていないと思う」が合わせて1,578件(38%)

受動喫煙を防止するために条例で特定の公共の場所の喫煙を規制することについて
「反対」が 1,985件(49%)
「賛成」が 1,738件(42%)

実は、アンケートを開始してから1月11日までは、賛成563票に対して、反対は29票。割合にして、賛成95%、反対5%という状況だったのです。これは、私自身がいろいろな講演会や集会の折に、実際に、会場の皆さんに手を挙げて賛否を聴いてきたのとほぼ同じ結果だったのです。

ところが、1月中旬から反対票が急激に増え始め、締切りの3日前になって反対が逆転するという形勢になりました。この間、「e-かなフレンズ」への登録者も、1月1日に577名、1月11日には933名だったものが、1月26日には4,378名にまで急激に伸び、その新規登録者のほとんどが反対票を投じたという状況がみて取れました。

こうした状況から、ある種の「組織票」が動いたのではないかと推察していました。そこへ、前述の新聞報道があり、JTの関与が明らかになったわけです。

私としては、「e-かなネットアンケート」は、一般の県民の皆さんの個人的な意見をうかがうという趣旨で始めたものですから、賛成・反対の立場を問わず、自由な投票や意見を出していただくことは、大いに結構なことだと思っていました。ただ、組織的な動員があったことには、残念な気持ちもあります。

こうしたアンケートには、バイアスがかかる場合もありますが、それであっても多様な方法で意見を表明いただくことは、自由であり、民主主義の基本であると考えています。私は、インターネットを通じて、今回のように生の反応が行政に直接寄せられたということ自体がこれまでにないことであり、意味のあることと受け止めています。

また、今回の喫煙規制については、このアンケートだけで方針決定するつもりはありませんでした。当初から、統計的な手法による調査も別途実施していく予定でした。さらに、有権者の皆様に判断いただく選挙の機会もあります。さまざまな意見を聴き、最終的には、議会の皆さんともしっかりと議論をして、県民の皆さんの健康を守るために、最善の政策を打ち出していきたいと思っています。


アンケート開始の記者発表(12月26日):
http://www.pref.kanagawa.jp/press/0612/23070/index.html
受動喫煙を防止するための公共的な場所での喫煙規制についてのアンケートの集計結果:
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/kenkou/gan/e-kananet/kitsuen_kisei.html

2月 16, 2007 健康 | | コメント (482)