2007年3月12日 (月)

ふるさと神奈川の第一次産業

つい先ごろ、神奈川で農林水産業に携わっている皆さんから、現場でのご苦労や課題をうかがい、将来のビジョンについて意見交換する機会がありました。

神奈川県の農業就業人口は3万5千人、農地は県土の8.8%を占めています。全国的にみれば決して多くはないのですが、農地の生産性は全国でもトップクラスです。そして、野菜は314万人分、牛乳は211万人分の年間消費量に相当する生産量があります。身近に大消費地を持つという特徴を生かして、「都市農業」が盛んな地域なのです。神奈川の農業は、新鮮で安全・安心な食料を供給してくれることはもとよりですが、農地は水源涵養機能や洪水を防止する機能も果たしています。そして、「農」のある風景は、私たちに安らぎを与えてくれます。

また、水産業の就業人口は2千300人です。生産量は80万人分に相当します。三崎のマグロは全国的に有名ですし、松輪のサバや小田原のかまぼこも神奈川のブランドになっています。相模川などのアユも釣り客には人気です。最近では、つくり育てる栽培漁業などが盛んに行われるようになっています。

林業の就業人口は約300人で、担い手の高齢化も目立っていますが、神奈川の森林面積は県土の40%もあります。森林は、水源を守り、土砂の流出を防ぐといった自然のダムの役割も果たしています。私も移動知事室で、高校生のボランティアと一緒に下草刈りをしましたが、今後、さらに県民参加で森林を守り、同時に産業としての林業を再生していく必要があります。

さて、私は、農業には個人的にも思い入れがあります。というのは、私は川崎市多摩区の農家の次男坊なのです。私が小学校に上がるころまでは、まだまだ農地や山林も残っていて、父や祖父と一緒に肥えをかついで、畑にまいて農作物を育てていたという経験もあります。そのころ、家では牛を30頭ほど飼っていて、雪印さんに牛乳を卸していました。月に1回、祖父と代金をもらいに行き、その後、祖父におんぶされて、横浜に出てマリンタワーや山下公園で遊ばせてもらって、港を見たという思い出が今でも残っています。
私にとって、「農」はふるさとなのです。

ウイークリー知事現場訪問では、これまでに、横浜市都筑区でトマトの水耕栽培を行っている温室の訪問(平成17年11月21日)を皮切りに、かながわ農業アカデミー(平成18年2月7日)、寒川町のJAさがみファーマーズマーケット「わいわい市」(平成18年2月1日)、平塚市の神奈川県農業技術センター(平成18年8月31日)などを訪問してきました。また、移動知事室でも、さまざまな農業の現場を訪ね、意見交換をさせていただきました。最近では、平成18年11月13日に、全国有数の露地野菜産地である三浦市を訪れ、観光もぎ取り農園や露地野菜栽培の現場を訪問し、さらに農業に意欲的に取り組む神奈川県農業経営士協会、神奈川県国際農業研究会、神奈川県農協青壮年部協議会、神奈川県女性農業者連絡協議会の皆さんと懇談を行いました。
また、移動知事室などで、漁業や林業に携わる皆さんとも意見交換をさせていただいてきました。

農林水産業に携わる皆さんは、自然とともに働き、命を育むお仕事をされているからでしょうか、どの方も「哲学」を持って生きていらっしゃるように思います。しかも、本当にさまざまな工夫を積み重ね、さらに新たな「技術」にチャレンジしていることに頭が下がります。

これまでに神奈川県では、「かながわ」で作られたものを「かながわ」で食べる「かながわブランド」(現在62品目)の普及促進、たい肥等による土づくりと化学肥料・化学農薬の使用の低減をめざす「エコファーマー」の認定、「地産地消」(地場生産・地場消費)を合い言葉に、農業、消費者、食品産業、学校給食の各団体と県がネットワークを組む「かながわ地産地消ネットワーク」の形成などを進めてきています。
さらに、こうした取組みを総合的に推進し、都市農業のある健康で豊かな生活の確保をめざして、平成18年4月1日から「神奈川県都市農業推進条例」を施行しました。 

安心・安全な「食」を確保することは、まさに、県民の健康と「命」を守ることにつながると思います。食は命の基本なのです。
最近では、遺伝子組み換え食品の安全性に関する懸念の声も聞かれます。こうした新たな課題にも取り組んでいかなければなりません。
その一方で、従来からある貴重な在来種の「遺伝子」保護も進める必要性も言われています。

県民の食と命を支える農業や漁業、緑と水を育む林業など、「ふるさと神奈川」の第一次産業の将来を、皆さんと一緒にしっかりと守り、育てていきたいと思っています。

3月 12, 2007 地域経済・産業 | | コメント (44)

2006年12月28日 (木)

『インベスト神奈川―企業誘致への果敢なる挑戦』を発刊

平成15年(2003年)4月、私が知事就任した3年半前、神奈川県経済はドン底の状況にありました。
「経済の再生なくして地域の発展はない」という信念のもと、私は、これまでにない大胆な産業政策を今こそ打ち出さなければならないと、決意したのです。職員と喧喧諤諤(けんけんがくがく)の議論の末に、「日本一ダイナミックで充実した政策をスピーディ」に組み上げることができたのです。
これが総合的な企業誘致政策「インベスト神奈川」です。

日産自動車のカルロス・ゴーン社長から、
「どの行政も、こうした取組みを行えばグローバル経済のなかで成功を収めることができる。」
との賞賛の言葉をいただいた全国トップレベルの「インセンティブ・パッケージ」(企業誘致総合政策)なのです。

平成16年(2004年)10月のスタート以来、18年12月までに、42社・44件の企業が神奈川県に進出・新規投資を決めていただきました。
この中には、日産自動車をはじめ、キャノン、ソニー、リコー、横河電機、味の素、富士フィルム、富士ゼロックス、武田薬品工業などなど、そうそうたる世界的なトップ企業が含まれています。
同時に、湘南デザイン、横浜油脂工業、芝技研、日本ビー・ケミカル、小俣木製作所、コイワイ、協同油脂など、しっかりとした技術を持ちベンチャー精神にあふれる中小企業も多数含まれています。

確かに、神奈川県としても、助成額は615億円という、これまでに例を見ない大きな「投資」であります。しかし、既に、これまで対象企業が、神奈川県に投下する「投資額」は、4700億円を超えています。さらに、平成17年10月までの19件だけで経済波及効果は9兆3000億円に上ると推計されています。施設整備による雇用増大は約27000人、今後15年間に見込まれる税収の増加は3700億円を超える見込みです。

このたび、この「インベスト神奈川」の立案から、実際の企業誘致の取組み、さらには進出企業の「生の声」、トップセールスの「秘話」までを紹介した『インベスト神奈川―企業誘致への果敢なる挑戦』(日刊工業新聞社)を出版しました。
前に紹介したゴーン社長のコメントは、ゴーン社長から特別にいただいた、この本の「発刊に寄せて」にある言葉です。

ゴーン社長の言葉にもあるように、地域経済もグローバルな「競争」の中に、否応なく巻き込まれています。本書にも書いたのですが、なぜ、この時期に思い切った「投資」判断をしたのか?企業はまさにこの時期に再生に向けた設備投資に着手しようとしていたのです。この時期を逃せば、企業を呼び込むことはできなかったでしょう。あるいは他の地域に企業は進出してしまったでしょう。

本書では、武田薬品工業をめぐる大阪府との「攻防戦」を紹介していますが、他の企業もグローバルな視野の中で、「最適な進出先・投資先」の地域を真剣に比較検討していたことは間違いないのです。企業も生き残りをかけた真剣勝負です。行政としても、生き残りをかけた真剣勝負をしなければならないのです。
私は、神奈川県を預かる「経営者」として、最善の決断をしたという自信を持っています。

「インベスト神奈川」でも優秀な中小企業の皆様を支援させていただいていますが、さらに、「神奈川R&Dネットワーク構想」によって、神奈川の中小企業への波及効果をねらっています。
今後も、グローバル経済の中でのベストプラクティスを目指して、さらなる「秘策」を打ち出す準備を進めています。
『インベスト神奈川―企業誘致への果敢なる挑戦』をお読みいただき、皆様からのご意見をいただければ幸いです。

日刊工業新聞社ホームページ: http://www.nikkan.co.jp/

12月 28, 2006 地域経済・産業 | | コメント (24)