2006年5月26日 (金)

誰もが可能性を持っている

4月14日、ウイークリー知事現場訪問で、平塚市の社会福祉法人 進和学園が今年3月に開設した知的障害者福祉工場「しんわルネッサンス福祉工場」を訪ねました。

今回の訪問は、昨年の「知事と語ろう!神奈川ふれあいミーティング」の会場で進和学園の皆さんからお招きのメッセージをいただきました。その後も福祉工場の進み具合の報告などのお手紙まで頂戴しました。ぜひとも工場の完成の暁には、おうかがいすると約束をしていましたので、ようやく念願がかなっての訪問となりました。

この福祉工場は、本田技研工業株式会社の協力を得て、現在、知的障害のある従業員の皆さん16名が自動車部品の組み立て加工を行っています。知的障害者の福祉工場としては、県内2カ所目で、ここで働く皆さんは最低賃金法が適用される労働者です。隣は、神奈川県の農業技術センターで、丹沢の山並みを臨む、大変環境のよい場所にあります。

オープンしたばかりの工場は、周辺環境にも配慮したデザインで、働く意欲が湧いてくるような整然とした、そして清潔な就労環境に驚かされました。また、ここは「通所授産施設」も併設されており、同じラインで福祉工場の皆さんと通所授産施設の皆さんが力を合わせて働いています。通所授産施設の皆さんにとっては、責任ある仕事を任されている福祉工場の皆さんとともに働くことは大きな励みとなり、いい目標になっているそうです。

この工場で作られた部品は、「世界のホンダ」の自動車に送られ、直接使われるそうです。指導する職員の皆さんのご努力もさることながら、障害があっても一生懸命に仕事に専念している皆さんの成果の賜物だと、感動を覚えました。工場のラインで真剣に作業に取り組んでいる皆さんには、「がんばってください!」と声を掛けさせていただきました。(邪魔になるといけないと思い、なるべく話し掛けるのは控えました。)

そして、ここの取組みの特徴は、ホンダとの取引の営業窓口会社として、株式会社 研進という会社を設立し、企業的運営を導入していることです。価格交渉や在庫管理をこの会社が専門的に行うことで、安定的に仕事を請け負うことができるのが大きな強みだと思います。

工場を見学した後、働いている皆さん、その親御さん、職員の皆さん、工場周辺の住民の皆さんとともに、意見交換の場を持ちました。この意見交換で一番印象に残ったのは、この福祉工場が地域の住民の皆さんにも信頼され、支えられているということです。住民の皆さんは、この福祉工場の建設段階から協力を惜しまなかったとうかがいました。地域の住民に支えられ、企業の社会貢献に支えられ、そうした支え合いの輪の中で、障害者の皆さんが本当に明るく働いています。他の地域では、時に福祉施設が地域に受け入れられずに苦しい思いをすることもあると聞いているので、この進和学園が地域と共生していることに感銘を受けました。

私が訪れた翌週の土曜日には、横浜国立大学名誉教授の宮脇 昭先生のご指導のもとで、「しんわルネッサンス植樹祭」が行われ、5千本近い植樹を福祉工場の周辺で実施されたそうです。

植樹された木々がすくすくと成長し、生命を広げていくように、障害のある皆さんも、ご自分のもつ可能性を最大限に生かしていけることを願っています。そのためには、皆さんが働き、活動する場がいろいろな形で地域に存在することが必要です。障害のある人もない人もみんなが、いきいきと暮らせる神奈川づくりに、県としても最大限の支援をしていきたいと思っています。

最後になりましたが、意見交換会の時にいただいた、皆さんが作ってくれたロールケーキ、大変おいしかったですよ。「ごちそうさまでした!」また、帰りがけには、皆さんが栽培しているしいたけや手作りのクッキーもいただきました。皆さんの笑顔に見送られ、温かい気持ちでいっぱいになって、施設を後にしました。

5月 26, 2006 福祉・社会 | | コメント (3) |

2005年9月28日 (水)

敬老の日に思う

9月15日(以前は敬老の日)、横須賀老人ホームに、県内最高齢109歳の酒井志げさんをお訪ねしました。着物をきっちり着こなされ、かくしゃくとしていらっしゃいました。何人かのお年寄りともお話をしてきました。長い人生経験やお知恵から学ばせていただくことが多いと、いつも感心します。それに、中には、「Thank you.サンキュー!」と声を掛けてくれる元気な方もいらして、思わず「See you next year.来年も会いましょう!」と答えました。元気なお年寄りが増えていることは、頼もしいことだと思います。

100歳以上の方は、全国で2万5千人、神奈川県内でも1200人を超えています。もちろん、介護などの必要な方が少なくないことも事実ですから、地域でいつまでも元気で、楽しく生活していただける体制をきちんと整えることも大切なことです。

年齢や人口構成のことでは、ほかに気になることが三つあります。

ひとつは、少子化の問題です。出生率が、全国平均で1.29人となり、神奈川県では、さらに低い1.20人になっています。この出生率は、一人の女性が一生の間に生む子どもの数のことを指しますが。現在の人口を維持するためには、この率が2.08以上でなければならないと言われています。いよいよ今年から、日本は人口減少時代に入るという予測も出てきています。

こうした少子化への対策として、15年度に制定された「次世代育成支援対策推進法」を受けて、神奈川県でも「かながわぐるみ・子ども家庭応援プラン」を今年4月からスタートさせています。次世代を担う子どもたちを、安心して生み、育てることのできる環境を整備していこうと、さまざまな施策を、企業や地域の皆さんと一緒に進めていきます。

もうひとつ気掛かりなのは、「団塊(だんかい)の世代」が大量に定年退職を迎える「2007年問題」と言われる問題です。「団塊の世代」は、堺屋太一氏が同名の小説で命名したもので、戦後の第1次ベビーブームの昭和22年から24年ころに生まれた人々を指します。この世代が大量に退職することによって、この世代の持っていた経験や技術・ノウハウが組織から失われる危険性があるわけです。これは、企業だけの問題ではなく、県庁も例外ではありません。2007年問題への対応を急ぐよう、県でも検討を始めたところです。

さらに、2007年問題の次は、この世代が高齢者となる「2015年問題」も取りざたされています。高齢化率が26%を超える「超高齢化社会」が到来するのです。そうした社会で、お年寄りがいきいきと生きられる仕組み、社会システムをきちんと用意していくためには、行政のみならず、企業やNPO、地域社会などが一体となって進めていかなければなりません。年金の問題も、将来を見据えて抜本的な改革が必要なことは言うまでもありません。

お年寄りが元気であることは喜ばしいですが、さらに、地域社会も日本も元気で長生きしていくことが大切です。
10年後、皆さんは何歳になっていますか。ご自身の問題として、少子高齢化を考えてみませんか。

9月 28, 2005 福祉・社会 | | コメント (108) |