命の重さを感じる
年末年始に二本の映画を観に行きました。本当に久しぶりでした。
1月3日に観たのはクリント・イーストウッド監督、渡辺 謙主演の『硫黄島からの手紙』です。イーストウッド氏は、映画俳優であり監督としても名高いのですが、1986年から2年間カリフォルニア州カーメル市の市長を務めたこともある「政治家」の顔も持っています。
さて、『硫黄島からの手紙』は、米国の視点から描かれた『父親たちの星条旗』に続く『硫黄島』2部作です。1945年、日本とそこに生きる家族や肉親を、米軍による本土空襲から守るという使命のもと、何万もの若い日本兵が命を賭けて硫黄島を守り抜こうとしました。イーストウッド監督が言うように、この2部作は、戦争をするどちらかの国が正義だというような従来の戦争映画とは一味もふた味も違うものでした。
祖国を思い、肉親への愛を胸に戦った人々は、尊敬すべきものであると思います。一方で、戦争によって大切な命が失われることの愚かさも身にしみます。
特に、この映画の中で、数多くの若者が「自決」の道を選ばざるを得なかったことは、胸が塞がる思いがしました。というのも、昨年、社会問題ともなったいじめを苦にした青少年の自殺を思い起こしたからです。現代の日本で、自殺による死者は3万人を超えています。戦争という極限状況の中でさえも、戦うことではなく、自らの命を絶たざるを得なかったという事実は重いものがあります。
人間には、どんな人にも命を全うする権利があり、またそれは責務でもあると思います。生きる権利を奪うことは大いなる罪に他なりません。
もう一本、年末に観たのは山田洋次監督、木村拓哉主演の『武士の一分』です。この中でも、盲目となってしまったことに悲嘆して、主人公の新之丞が自殺を図ろうとするシーンがあります。この自殺を止めさせたのは妻の加世の深い愛でした。自殺を思いとどまった新之丞は立ち直り、役目も果たせるようになっていくのですが、そこに妻との悲劇が待ち受けています。
藤沢周平氏の原作になるこの映画は、壮絶な武士の物語であるとともに、夫婦の愛と、命の尊さを訴えているように思えました。
山田監督は、『幸福の黄色いハンカチ』や『男はつらいよ』シリーズで著名な日本を代表する監督ですが、今回の作品でも、人間の情愛を温かく見つめるまなざしにあふれています。先に述べたイーストウッド監督にも、人間に対する深い愛情を感じました。
二本の映画から、改めて、人の命の大切さを訴える一年にしなければならないと決意を新たにしました。
ご覧になった皆さんは、どのようなご感想をお持ちになったでしょうか?

